第20章 反則技
上「にしてもよ〜は何のゲームで勝ったんだ?」
『やってみる?
———————愛してる。』
不敵な笑みを浮かべるとは椅子から立ち上がり上鳴の正面に立った。
そして流れるような動作で頬に手を添え反対の耳元に口を寄せ愛の言葉を囁く。
近過ぎる距離だけでも充分であるのに彼女の吐息混じりの声、ほんのりと香るいい匂い、頬を触る小さな手の温もり。
照れるを通り越して昇天しかけた上鳴は男の意地で何とか持ちこたえたが頬は染まっている。
勝敗は明らかだった。
『電気の負けー!!』
ニコニコと上機嫌である彼女とは対照的に勝利の行く末を見届けたクラスメイトは唖然としていた。
芦「ひぇっ……!」
耳「何のゲームだよ。」
麗「それはあかん。」
切「漢前過ぎるだろ……。」
頼むからこれ以上心臓に負担をかけないでくれ。
皆の思いはつゆ知らず。
彼女は時間が経つにつれ赤面する一同に『え?駄目?駄目だった…?』と眉を下げて問いかける。
耳「駄目っていうか、反則でしょ。」
切「あいつアホになってんぞ。」
上「うぇ〜?」
芦「とりあえずはちゃんの勝ちってことで…………解散!!一旦頭を冷やしたい!!」
疲れ切った様子で教室から出て行った5人は改めての恐ろしさを知ったという。