第14章 近くて遠い
西エリアを堪能し終えた二人は空腹を満たす為昼食をとることに決めた。
『上鳴も結局魚食べてるじゃん。』
上「ゔっ……。美味そうでついよ……。」
『だから言ったじゃん(笑)あ、このイルカパンケーキ美味しそう!』
上「本当だな!このシロクマアイスも美味そうじゃね?」
『上鳴!半分こしよう!』
上「おう!」
運ばれてきたデザートに心弾ませる。
一方上鳴はいそいそとスマホを取り出し撮影に取り掛かる。
『映え?』
上「映え。」
頷いた上鳴は自身のスマホを彼女へ見せた。
『ちょっと!肖像権!』
そこに映っていたのはイルカをかたどったパンケーキと満面の笑みの彼女だった。
しかも某写真映えアプリに投稿している。
上「わり。可愛くてつい、な。」
『パンケーキだけあげればよかったのに。』
上「それじゃあ意味ねーだろ?こういうのなんて言うんだっけ…。あ、あれだ!両手に花ってやつだ!」
『意味は分かったけど絶対違う!』
投稿してしまったものはしょうがない、と割り切って食べ進めていると突如はスマホを取り出した。
『電気。』
上「うぇっ!?」
『ふふっ、アホ面ゲットー。』
甘美な声で名前で呼ぶを見れば待ち構えていたのはシャッター音。
これはずるい。
色々とずるすぎる。
上「なぁ、もう一回呼んでくれよ。」
仕返したことに対し無反応だったのがつまらないのか少し口を尖らせながら、電気。と呟いた。
上「それいいな。」
『電気?』
上「おう!なんだ、。」
『付き合いたてのカップルか!』
上「え?違うの?」
『今日を命日にしたいんならいいんじゃない?』
上「………遠慮しておきます。」
今日はこれで良しとしておこう。
ただ名前を呼び合うだけで鼓動が煩いだなんてチャラ男失格だ。
そもそもそんな代名詞を名乗り出た訳ではないのだけれど。