第8章 境界線はどこから?
口を尖らせた焦凍が敷いた布団は一組。
そしていそいそとそこへ潜り込む彼。
『えっ!?同じ布団で寝るとか言わないよね?』
轟「あいつとはくっ付いて寝てたぞ。」
『いやっ、それとこれとは訳が違うような……。』
轟「大丈夫だ。痛くしねぇ。」
突然やってきた貞操の危機にたじたじとしていれば手首をグイッと引かれ、気が付けば布団の上。
観念してぎゅっと目を瞑っていた。
すると訪れたのは柔らかな温もり。
そう。布団である。
轟「?————寝るぞ。」
『う、うん。』
仲良く布団に潜り込み、彼の優しさに安堵したのも束の間。
頭の下にたくましい腕が回りもう片方の腕は私を引き寄せるように抱き締める。
更には足も離さんとばかりに絡まっていた。
『焦凍。この体勢は何?』
轟「寝る体勢だ。」
『同級生と寝る体勢じゃないよね?』
轟「違うのか?峰田が貸してくれた本にはこう載ってたぞ。」
あー、明日は峰田君の命日か。
『この際だからはっきり言うと、峰田君は存在自体間違ってる。普通年頃の男女が同じ布団で寝ないから。』
轟「そうなのか!?………悪ぃ。」
俯いたまま黙り込む。
この顔は落ち込んでいるだけじゃない。
何か考え事をしている顔。
マイペースな彼が次に紡ぐ言葉をひたすらに待った。