第8章 境界線はどこから?
寮へ帰宅した後はいつも通り。
一連の流れを済ませ1つ上の階の焦凍の部屋へ向かう。
というか夜に異性の部屋に行くのはダメって先生言ってたよね?
『まぁ来ちゃったしいいや。』
なるべく音を立てないよう控えめにドアを叩けばゆっくりと開いた隙間から覗くオッドアイ。
辺りが薄暗いからかいつもより眩しく見えた。
轟「やっと一緒に寝られるな。」
手際よく急須で淹れた緑茶を差し出してくれたのでありがたく頂く。
『他の子に頼めば二つ返事で寝てくれると思うけど。』
轟「他の奴には頼まねぇぞ?」
『え?なんで?』
轟「だから一緒に寝たい。」
何度やってくれるんだ。
この天然タラシ。
彼の髪のように赤くなっているであろう顔を手で仰ぐ。
『焦凍ってずるいよね。』
轟「それもだ。」
全くもって意味が分からず首を傾げる。
すると彼は私の頭を撫でながらこう言った。
轟「俺を名前で呼ぶのはこれから先もだけだ。」
え、やだ、天然タラシ怖い。
こんなこと容易くしてしまうからモテるんだろうなぁ。
『はいはい。気持ちだけ受け取っておくね!じゃあそろそろ寝よう。』
轟「あぁ。」