第7章 やがて実となれ
………のも一瞬。
次には誰推しだの両想いかもしれないだの妄想に花を咲かせ盛り上がる。
耳「————いやでも轟ものこと好きでしょ。ほら。」
耳郎が指を指した先に見えるのはいつ離脱したのか、食堂スペースに座って話す彼女と轟の仲睦まじい姿。
普段無表情の轟でさえ若干ではあるが口元が綻び、周りには花が飛んでいる(ように見える。)
本人が淡い恋心に気付いているかどうかは別だが。
轟「そりゃ大変だったな。」
『帰って来た瞬間囲まれたからね(笑)』
轟「で、どうなんだ?」
『どうなんだ……とは?』
轟「付き合ってんのか?」
ムッとした顔をする彼を一笑すればその態度に轟は更に怒りを増した。
『ごめんね。轟君の反応が可愛くて。』
轟「可愛いと言われても嬉しくはねぇ。それに可愛いのはの方だ。」
『へっ!?あ、ありがとう……。しかも今名前……。』
轟「駄目か?」
こてんと首を傾げる天使にノーと言える人が居たらぜひ連れて来て頂きたい。
爆豪ではないけれどぶっ殺す!
放心状態さながら首を横に振れば更に出てきた驚きの言葉。
轟「俺のことも名前で呼んでく『無理。』………なんでだ?」
『え、なんか恥ずかしいじゃん。それに轟君のファンから殺される。』
轟「そん時は俺が守ってやる。」
決してノーとは言わせない轟。
彼が意外にも頑固であったことを思い出した彼女はまたもや首を縦に振るしかなかった。
『しっ、焦凍。』
轟「なんだ、。」
顔を赤らめるの様子を遠目から見る女子はまだ話のネタには尽きないようだ。
『ご飯取りに行くからしっ、焦凍も付いてきて?』
轟「あぁ。」
片時も離れたくないのか、と解釈した轟はの頭を撫で可愛いな、と呟いた。
『ッ!!この天然タラシ!』
彼女の叫びは虚しく当の本人は首を傾げただけだった。