第3章 温もり効果
ポスッ
今日はやけに効果音で目が覚める。
誰かがくっつくように隣に座ったかと思えば感じる視線。
視線の正体を確かめようと目を開けると見えたのは、
『熱烈な視線をありがとう、爆豪君。』
爆「ッ!!テメェ、起きてたんかよ!」
息を呑み思わず後ずさった彼はふと何かを考えたのち再び私の横に密着するように座った。
『ふふっ、今起きたばっかりだよ。そういう爆豪君は?』
爆「あ゛ぁ?忘れもん取りに来ただけだ。返せ。」
そう言って私にかかっているブランケットを引っ張り自分の膝にかけた。
と言っても半分だけ。
私にもかけてくれているのが何とも不器用な彼らしい。
『部屋に戻らないの?』
爆「それはこっちのセリフだ。」
『んー、なんか人恋しくて。』
爆「はッ、んだそりゃ。」
『そういう時ない?』
目を伏せた彼は少し言い澱みながら答えた。
爆「………誰でもいいって訳じゃねぇ。」
『それは私も。』
爆豪君の肩に頭を乗せると舌打ちをされた。
しかし人の温もりとはいいものだ。
独特のニトロの香りも相まってうつらうつらとする。
爆「俺でもいいんかよ。」
『………………………う………ん…。』
ぼんやりとする記憶の中で一瞬だけ唇に何かが掠めた気がした。