第7章 あなたと共に
エルヴィンが抱き締めてきた。
ユリアは大きな体に抱き締められながら嗚咽を上げる。
「私があなたを必ず守り抜いてみせる。そして、あなたと共に生きていきたい」
エルヴィンに言われ、ユリアは頷いた。
「エルヴィン……私も……あなたが好きだった……、 一緒にきて……私と……」
離れれば目が合う。
「必ず幸せにしてみせる。あなたも、この子も。……さあ、早く行こう。馬を拝借している。あなたのことを考えれば馬車が良かったが目立つからな……なるべく辛くないように努めるが……」
「うん、早く……行こう」
エルヴィンはユリアを立たせて、荷物を乗せた馬と二人が乗るための馬のもとへ行き、エルヴィンもユリアも馬に乗った。
エルヴィンの合図に走り出した馬。これから夜明け頃には両親の元に着くだろう。
足跡は直ぐに降り続く雪に消されて行った。
その翌々日。
カルデリア家に嫁いだ身重の女と、その家の庭師が行方不明になったと地元の新聞が取り上げた。
しばらく捜索されたが見つからず、捜索は打ち切られた。
結局、彼女達の行方を知るものは……誰もいない。
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