第7章 あなたと共に
とある街から離れた場所。
石造りの家の庭でフラフラとしながら歩く金色の髪と碧い瞳が美しい子どもと、それを見守る女性、ユリアがいた。
「エドヴァルト、おいで!」
ユリアに名前を呼ばれた子どもは満面の笑みで笑いながらユリアの目掛けて歩き、辿り着く瞬間にコケそうになり、ユリアが抱き留めた。
「すごい……凄いよエドヴァルト!頑張ったね……流石パパの子!カッコイイよ~!」
「ユリア、エド、ただいま。プレゼントとケーキ買ってきたぞ」
「エルヴィン……!おかえりなさい」
帰宅してきたエルヴィンの元へ、エドヴァルトを抱いたまま駆け寄った。エルヴィンは二人を抱き締めて二人にそれぞれキスをした。
「今……、エドヴァルトがたくさん歩いたの」
「何っ……見たかったな……。だが流石ユリアの子だ、さぁ来いエド!お前のバースデーパーティをするぞ」
そうやってユリアからエドヴァルトを抱き上げた。
ユリアはその背を見て微笑んだ。
「ユリア、おいで」
そっくりな顔の二人が振り向き、こちらを見た。
「っうん!」
ユリアは二人に向かって走り出し、飛び付いた。
「私幸せ……、エルヴィン、愛してる」
「ああ、俺も幸せだ。ユリア、愛してる」
二人がキスをすると、エドヴァルトが二人を引っ掻いた。
「ご、ごめん、忘れてないから。エドヴァルトも勿論愛してるよ」
「ふふ、ヤキモチ妬きなんだろう。エドはママとパパの宝だよ。愛してる」
押し潰されるように両側からユリアとエルヴィンにキスをされて顔の形が変わるエドヴァルト。しかしエドヴァルトは嬉しそうに声を上げて笑った。
夏ももうすぐ終わる頃。まだ暑さは引かないが、雰囲気はすでに秋へと模様替えし始めている。
しばらくするとバースデーソングが石造りの家から聞こえ始め、生まれて一年になる息子の為のバースデーパーティが始まった。
-第11章 END-