第7章 あなたと共に
「は、今何と……」
「抱いて欲しい、と言ったの。私は妊娠するんだって証明する為に」
「もしご懐妊されれば、あなたはどうなるか……」
「分かってる。殺される前に出て行くから。実家の父と母を連れて、どこか遠くに」
だからお願い。エルヴィンに縋り付く。肩を震わせて頭をエルヴィンの肩に付けていると、エルヴィンがユリアの肩を押して体を起こさせた。
「奥様」
やはりダメか。ユリアは申し訳ないような気まずさになり、エルヴィンを恐る恐る見上げた。
すると手が頬にあてられ、髪の間に指がするりと入り込み、そちらに気を取られていると唇にエルヴィンが口付けた。
藁を背にしてゆっくり寝かされ、唇を食まれたり、離れて首筋にキスをされて……これは……まるで愛されていると錯覚するような優しいキスの雨が身体に落ちていく。
耳を食まれた時、甘い声が小さく漏れた。
「お耳が好きなんですね」
ちゅく、ちゅっ、と小さなリップ音とエルヴィンの熱を含んだ声が鼓膜を揺らす。甘ったるい声を抑えるが、駄目だ、どうしても鼻からも声が漏れる。
「先程までのあなたが嘘みたいだ。こんなにも可愛らしくなるなんて。ご主人様も大層可愛がって下さっているでしょう」
「そ、んっ……な、ら、探しに来る……は、あっ……」
「はは、確かに」
エルヴィンは笑って、再び耳を苛めながら、ユリアの胸に触れた。
「ん、あ……んっ」
キスをされ、見つめ合ったままに服の中へと手が侵入して下着の上から一度、胸を揉んだ。
「ひっ……ん」
少し驚いてしまった。今までもだが、ここに嫁いでから夫との営みではかなり淡白な行為だけで愛撫さえされずじまい。こんなに胸を揉みしだかれたことは無かった。