第7章 あなたと共に
パチリ、パチリ。木を切り終わり脚立を降りた庭師から、ユリアはため息を吐きながら目を逸らした。
目の前には姑。
「……尻軽。庭師なんかに色目を使って」
「な、誤解です……!」
「来なさい」
メイドをも押して退け、ユリアの手を無理に引いて姑が向かった先。
底冷えのする季節。ユリアは薄着のままに物置小屋に押し込まれた。
「お義母様……!お義母様、開けてください!!」
「罰です。今夜はそこで過ごしなさい」
物置小屋は外から鍵がかかるようになっている。ユリアは戸の前でその場に崩れ落ち、溢れ出す涙を地面に落とした。
「わ……たしだって……なんで妊娠しないか分からない……、あんなに頑張ってるのに……、もう嫌だ……死にたい……死にたい、もう、無理だ……ごめんなさい、父さん、母さん……」
入った時に見た、枝を剪定するための鋸がある場所に手を伸ばした。ガチャンと刃物が手にあたり、掴んだ。
「死ね……もう、私なんて……」
鋸を首にあてた時だった。
「お待ち下さい」
背後から男の声がした。かなり驚き、声を上げて戸にぶつかって振り返る。
「あ……申し訳ございません」
「だ、誰……何でここに人が……」
男がマッチに火をつけ、物置小屋にあるランプに火を着けた。
「……あなたは……庭師の……」
「エルヴィン・スミスです。奥様、その鋸をこちらへ」
エルヴィンが手を伸ばしてきたが、手を叩いて拒否した。