第7章 あなたと共に
パチリ、パチリ。
窓の外から聞こえてくるのは、この家の庭師が木を剪定する音。
ユリアはそれを家の二階から見下ろしていた。
「……奥様?」
この家に嫁いで、もうすぐ二年が経過しようとしている。ユリアがここに来た理由、それはいわゆる、借金の肩代わりだ。
子孫を残すことが出来れば、家の借金はなかったことに。そう、懐妊さえ、すれば。
〝あなた、子宮がないんじゃないの?〟
〝ちゃんとウチの息子と夫婦生活はあるの?〟
〝早くしないと、お家が大変なことになるわね〟
姑からは毎日のようにそういわれ、月日が流れれば流れるほどに、焦りや、ユリアの肩身も狭くなっていた。