第1章 秘事は睫
先程、一旦祝賀会に戻るという公爵を、公爵の自室で繋がれたまま待つユリア。
その心は傷付き汚され、ユリアは途方に暮れたまま天井を見ていた。
公爵はモノを取り出した後、処女かどうかをユリアに問い、ユリアが正直に処女だと伝えれば、残念そうにしながらモノをしまったのだ。処女は奪わない主義だと言っていたがどういう意味なのか。
涙が込み上げ止まることは無い。泣きながらも、体の本能なのか、傷を癒すために眠気が襲い、眠りについた。
暫くして、ドアが開く音がして目を覚まし、耳をすませれば足音が2つ聞こえ、公爵だけではないことが伺える。
首を上げ足元を見ると、そこには公爵と一緒に調査兵団団長のエルヴィン・スミスが居た。
「団長・・・なぜこちらに・・・」
エルヴィンは目が合った一瞬、驚きの表情を見せたがそこからは会場に入る直前のような愛想の無い表情に戻った。
「公爵、この子は」
「たった先程、私へのプレゼントにした。君も同じ誕生日だと聞いたがそうなのかね」
「10月14日、間違いはありませんが何故今それを」
「私は個人的に君の腕を買っているんだよ。私は逞しいものが大好きでね。君達二人は私のお気に入りなんだ。一番はユリアだが、エルヴィン、君は本当に男の私でさえ興奮する程に逞しく男らしく、そして愛おしい。人類の為に命を投げ打ち戦う姿、想像して勃起してしまうよ。ほら・・・」
公爵の話に「は・・・」と短く返事をしたエルヴィンに、構わず公爵は続ける。
「そんな君だから私のお気に入りのユリアの処女を君にプレゼントしたい。貰ってくれるだろう」
「しかし」
「いや!!分かってるぞ、君がそう一筋縄では行かないことは!!」