第6章 歪んだ二人の向かう先
それから何度か“尋問”を繰り返すが結局エルヴィンから何も聞き出すことは出来なかった。
ユリアは牢から出て上官に報告をしに向かう。
“エルヴィンは何も吐かなかった”、そう言えば、上官はユリアの乱れ、汚れた姿と言葉に顔を青くして「そうか、お前程の手練でも無理であったか」と頭を抱えていた。
エルヴィンは強く、儚く、美しかった。尋問などはどうだっていい。先程の行為を思い出して身体の奥底が煮えるように熱くなるのを感じ、身震いする。
牢へ戻ると、服を直されて壁に取り付けた手枷に繋がれて項垂れるエルヴィンが目に入った。
「またいつか。団長」
ユリアはエルヴィンに別れを告げ、また普段の生活へと戻って行った。
-END-
※次ページ、尋問前のユリアのサイドストーリー