第5章 ごめんなさい。
何の焦りだったのだろう。ユリアは考えた。
……あ、
「あぁっ!!あ……あー……」
一人で気付き、納得した。
膝上でバックスリットタイプのタイトスカートだったのを忘れていた。
昨日買ったばかりのタイトスカートだったから早く着たくてついさっき、着てしまったのを忘れてた。
きっと物を拾っていた時に下着を見られたのかもしれない。
申し訳ないことをした……見たくもない客の下着を……
いや待てよ、と、ちょっと興奮している自分がいるのに気が付いた。
「欲求不満すぎ……」
挙式前から、禁欲生活だった。
全てはハネムーンの為、らしいが、夫は体力的にキツいからハネムーンまでに体力を上げるのが作戦らしく、「ハネムーンでは寝かせない」などと意気込みを語っていた。
挙式前、今日合わせてかれこれ三ヶ月も前の話。
自慰も我慢した。まだ自分は20代だ。30代になったって性欲はきっと止まらないだろう。
そんな自分が禁欲100日目を迎えた。
そりゃあんなイケメンに下着を見られて欲情しない方がおかし……まあ、欲情するなら普通は逆だが。
ユリアは顔を熱くしつつ、寝室を後にした。