第4章 性的趣向
ひんやりとした指が、肩に触れた。だがその指は曲線を描く肌の上を滑り落ち、肘に到達した。そこからまた肩へ戻り、胴の方へと滑った。
「ん、」
身体が反応する。見られることに敏感になり、最近では撮影されながら自らの股を濡らすこともあったユリアは、次第にエルヴィンとのセックスを想像するようになっていた。想像しながら、自慰をしていることも多々あった。
逆にエルヴィンも、写真を撮りつつも興奮の原因がユリア自身にもあることに気が付き、写真を見返してはユリア自身で自慰をし、欲望を満たし始めていた。
「ん、あ、くすぐっ・・・たい」
「あ、ああ、すまない・・・じゃあ撮影するよ」
「ま、待って・・・」
そそくさとカメラを手にするエルヴィンの手を止めさせる。
「・・・もっと・・・もっと触って・・・エルヴィン」
「・・・歯止めが効かなくなってしまう」
「いいから・・・」
「だが・・・」
「エルヴィン・・・!」
躊躇するエルヴィンにユリアは息を整えてエルヴィンの目を見た。
「・・・触って、エルヴィン」
エルヴィンのカメラを持つ手に力が入ったのを感じた次の瞬間。カメラを持つ反対の腕が身体を抱きすくめ、深い口付けをされる。
身長差に顔を真上に向けながら、よろめいて撮影するソファーに尻もちをついて座る。エルヴィンは三脚にカメラをセット、それから何やら操作をしてユリアの座るソファーの横に膝まづいた。
「どうしたい」
エルヴィンが言う。その瞳は見たことがある。あの日、出会った日のものと同じだ。
ユリアはゾクリとして、エルヴィンの瞳を見つめ返した。