第22章 【合同夢】Kids under Edge
エルヴィンは私に背を向ける。呼吸を整えて、最後に大きくため息を吐いて、一言。
「シャワーを浴びてくる」
汚れたベッドの上でぐったりとしている私を取り残して寝室を去った。
私はふらふらと体を起こして、性器から漏れ出る精液をティッシュで拭った。自分では見えないから綺麗に拭い取ることが出来ない。
いつもならエルヴィンが、恥ずかしがる私に微笑みながら拭ってくれていた。そして私の裸を抱きしめて、「ありがとう」とキスを落とすのだ──今日は、それがない。
私は次から次へと溢れ出る精液を拭うのを諦めて、ベッドに倒れ込んだ。興奮に昂る涙ではなく、空しさに沁み渡るような涙が頬を伝った。
エルヴィンのために剃ったのにな……そんなぼやきも、今となってはどうでもいい気がしてくる。
そのときだった。
エルヴィンはずぶ濡れの全裸で、血相を変えて寝室に飛び込んできた。
「なあ、この四枚刃剃刀……」
私は体を横たえたまま、ふと笑って頷いた。
「自分で剃ったのか……?まさか、俺を喜ばせるために……」
エルヴィンは「すまない、本当にすまない……」と歩み寄り、私の背中に触れようとした。でも──
「いやっ!!!」
私は反射的にエルヴィンの手を払い除けていた。
「こわいの……。エルヴィンが、こわい……」
意地悪で乱暴なエルヴィンに興奮していたのは確かだ。
でも冷静になって思い返すと、穏やかで優しかったエルヴィンの……
あのエルヴィンの、新しい一面を見て……私は、恐いと思ってしまったのだ。
「すまない……俺はお前になんてことを……」
払われた手を空で握り、エルヴィンが呟く。
冷静さを失って、加虐的な行為に走ってしまったことを酷く後悔しているのが伝わってきた。
「どう償えばいい?教えてくれ……」
初めてだった、こんなにも思いやりのないセックスをされたのは。いつも情愛に満ちていて、激しく、けれど慈しむように抱いてくれていたのに。