第18章 懺 悔
だから、気が付かなかった。背後から忍び寄る影に。
ユリアは突如背後から襲われ、布の袋を頭から被せられて殴られた。その痛みに呻いている内に服は引き裂かれ、乱暴に下着も脱がされた。また体に重たい痛みが。
脚が無理やり広げられ、熱く硬い何かが陰部にあてがわれた。
「や……やだ、いやぁぁぁぁっ!!!」
叫ぶと袋の上から手が口元を押さえ込み、巨大なソレがまだ男を知らぬ膣口へと侵入してきた。ユリアは痛みと恐怖に身体が震え、顔を覆う袋の中で泣いた。
行為自体は何時間も続いた。途中から目隠しだけになり、最後は家の二階へ続く階段に縛られて放置されたまま、二日の時間が過ぎた。
ユリアと両親の惨状を見つけたのは恋人のジャン。
ジャンは懸命にユリアを支えたいと懇願までしたが、ユリアの精神的なショックが大きく、しばらく一人にさせてくれと言って一人暮らしをすることに。
ジャンとは変わらず交際している。今日もこの懺悔が終わってから会う予定だ。
「……私は、過去から逃げています。両親の死と、彼と、向き合うことから逃げています……、あの日から私は……犯人を憎んでいて、死んでしまえばいいと、毎日願っています、神は……神は私を、こんなことお許しにはならない、きっと、私は死んでしまった方が楽になれる……」
ユリアは泣きだし、神父に話せなくなると、神父が語り始めた。
「私にも、罪がある」
「……神父様も……?」
「ああ、そうだ」
壁に隔てられた向こう側、神父の表情は見えないが、どこか影が差しているように感じる。
「私は一年前、とある家に押し掛けた。ずっと好きだった女性で、年下なんだが……どうやら彼女には恋人が居たらしい。私はその時自分でも驚く程に怒りの感情が溢れてしまってね」
聞きながらカタカタと奥歯が鳴り、体が震えながらも硬直した。
ガチャ、と神父室から神父が出て行く音がした。そして、告解室の扉がゆっくりと開くと、うっすらと笑みを零す神父が現れた。
「思わず彼女の母親を、夫の前で犯して殺し、後に帰宅してきた彼女とセックスした。……久しぶり、ユリア」
告解室の扉が閉まると、そのまま施錠された。