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エルヴィン裏作品集

第17章 赤ずきんちゃん





あの日から五年ほどの月日が流れた。

ユリアは極度の男性恐怖症になってしまい、この五年の間で父親もユリアが強姦されたショックで精神的に参ってしまった。
不幸はそれだけでは終わらず、病気を患っていた母親が亡くなり、後を追うように父親も他界した。

ユリアの大好きな祖母も、亡くなった。

独りきりになった、村一番の美人。
ユリアの表情はいつも影が差し、いつしか人も寄らなくなった。

そして運命の日。久し振りに来客があった。

ドアを開け、目の前に居たのはいつぞやら自分の貞操を奪い去って行った男だった。あの時、行為に夢中で顔を見ていなかったのか、どうやらユリアだとは気が付いていないらしい。

あの日の狼男によれば、ユリアのことを見かけてどこかユリアが気掛かりでつい家を尋ねてしまった、との事だった。

ユリアはこれを好機だ、と考え、狼男、もといエルヴィン・スミスを家に招き入れ、次第に距離を縮めて男女の仲になった。

村では、村一番の美人と村に来て間もない男前が恋仲になったと瞬く間に噂が広まった。

ユリアに対する暗い噂も頼り甲斐があるエルヴィンのお陰で消え去り、ユリアの人生は再び良いものになったと思われた。

しかしそれは違って、ユリアはある計画を企てていた。それは狼男に報復すること。同じ苦しみを味合わせ、殺す。必ず。

良い恋人を演じ、夜はエルヴィンの腕の中で子猫のように甘え、鳴いた。エルヴィンもあの日が嘘のようにユリアを愛し、一瞬、ユリアもエルヴィンを愛していると勘違いしそうになる程だったが、報復の為、復讐の念を燃やし続けた。




そしてとうとう、その報復をする日がやってきた。





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