第15章 消失
スマートフォンを投げて何分経っただろう。時間の感覚が分からず、とにかく気を散らすことに専念した。
しかし、エルヴィンが膣内に指を侵入させた時に膣が動き、それでエルヴィンは動いてしまった場所を愛撫した。小さく息が漏れる。静かな場所のせいで、普段なら聞こえないくらいの息遣いまで際立ってしまう。
互いに黙って、エルヴィンは指を挿れたまま、クリトリスに舌を這わせて吸ってくる。思わず尻に力が入り、ビクビクと膣が痙攣した。
何で良い場所ばかり……。
目を合わずに止まらぬ涙はそのままに窓の外を見る。床に転がったまま、空だけが見える。
ジュっ、ジュルル、と愛液が吸われる。
それが嫌で、また涙が出た。
愛する息子だった。自慢の息子だった。その息子に自分の恥部を晒し、勝手に反応し、溢れる体液を飲み込まれているのだから。
「っ前戯は良いから早くしなさい」
そう言うと、愛撫していた手は止まり、身体が離れた。
ベルトのバックルがカチャカチャと鳴っている。
チャックが降りる音がして、膣口に塊が当たった。
エルヴィンは一瞬短く息を吐いて、止めた。そのまま腰を中に埋めていく。
ぐぐぐ、と、夫のミケにも劣らない質量が膣口を拡げ、膣内へと挿入ってきた。そこでエルヴィンを見る。
「ま、待って、ゴム……!」
「無い」
焦る私を見て、エルヴィンは少しだけ口角が上がっている。
「すまない、“母さん”」
バチッ、折り曲げた両足の膝を持って、エルヴィンは突然子宮口を奥へと押しやった。圧迫感に声が出せずに喉が鳴った。
ゾクゾクと快感が駆けて行く。
「凄い締め付けてる。仮にも親子だから尚更相性がいいのかもな」
バチッ、再び強く打ち込まれる。
「ほら、気持ちいいなら声出していいんだぞ。ミケとのセックスでは可愛い声で鳴いてるの知ってるぞ」
「ミケ、の話はっ……駄目っぇ」
律動は強弱を付けられる。
「腹が立つな。ミケという単語だけで更に締め付けて」
エルヴィンは私の両足を抱え込ませた。押し潰し抱き締める格好でガツガツと私の子宮を突き始めた。