第2章 あなたをください
「何故だか分かるか、と言ってる。答えろ」
「血、を・・・」
「声が小さい」
「血を・・・他の男の血を飲んだ・・・から、です」
かろうじて聞こえる声量で言うエミリアは、エルヴィンの腕を押すが全く動かせないようで今にも泣き出しそうな目をしているが、エルヴィンの顔を睨んでいる。
「なんだその顔は。今まで誰のお陰で生きてこられたと思ってる」
「エルヴィン・・・様のお陰です」
「その通りだ。・・・お前は俺の血以外で満足できないだろう。その証拠に街が死体まみれだ。だがそれも俺の気を引く為なんだろう。素直に待っていれば直に会えたのに」
「・・・だって・・・」
次第にエルヴィンは腕にかける体重を重くしていく。
エミリアは顔を赤くし、身体を捩らせたりバタつかせるが無駄で、次第に目がうつろになり呼吸も動きも止まった。
エルヴィンはそのエミリアの姿をみているが、うっすらと口角を上げている。エルヴィンはナイフで親指に切り傷をいれ、エミリアの口にその指を捩じ込み、口内を弄っているとエミリアの目に光が戻り、むせて息を吹き返した。