第2章 あなたをください
洋館の中はボロボロで埃っぽい。
エルヴィンは二階に上がる大きな階段を上がって突き当たった部屋のドアの前に立ち、ポケットにある鍵を鍵穴に差し込んだ。
扉からはガチャリと音が聞こえ、辺りにその音が響いた。
エルヴィンが扉を開けると、この洋館の今まで見た風景とは全く違う、どこにでもあるような部屋があり、ベッドの上には薄い布を身体に掛けた若い女が横になって寝息を立てていた。
エルヴィンが右を見れば、机と椅子があり、椅子には血のついた服が無造作に脱ぎ掛けられていた。
エルヴィンは溜息を吐いて部屋に足を踏み入れた。ドアを閉めて鍵をかけると、ベッドに近付いた。
エルヴィンが真横にくると突然女が手にナイフを持ち起き上がってエルヴィンの首元に刃を当てるが、顔を見た瞬間に動きを止めた。
「・・・エルヴィン様・・・」
「エミリア、久しぶりだな。今日は君にアレ・・・と、一番の目的、お仕置きをしなければと思って来た。何故か分かるな」
エルヴィンがエミリアと呼んだ女は黙っていると、エルヴィンがナイフを持つエミリアの腕を掴んで、もう片方の腕を首元に押し付けてベッドに倒した。