第15章 消失
エルヴィンの運転する車。
車を運転するエルヴィンは「母さん、あのな」と切り出した。
「実は今日、今までのお礼にって、母さんが前に行ってみたいって言ってたホテルのレストラン予約してるんだ。少し遠いから、部屋も取ってる。だからお酒も飲めるしゆっくり出来るようにしてある。爺ちゃん達にも話してあるから、リヴァイの心配は要らない」
「え!あの高級ホテル!?お金は!?」
「もう、母さんは気にしないでいいんだよ。こういう時は素直に喜ぶのが正解だよ」
「いやいや……嬉しいけど……ビックリするよ」
「はは、母さん可愛いな」
「あ、馬鹿にしたね?うるさいよ、本当に~」
本当に大人で紳士的な男性に育ったみたいだ。特に何かした訳では無いけど、自分の息子には勿体ないくらいだ。……因みにこれも親バカ。
そうだなあ、親バカだ。いい加減、互いに親離れ子離れしなければ、将来のお嫁さんが可哀想だな。
きっとマザコンだってウンザリされて……今まで女っ気がなかったのもきっと……
「どうかした?嫌だった?」
「え、いや、何でもないよ。嬉しくて。ありがとう」
「ならいいけど。どういたしまして」
ホテルへ向かう車窓を眺めながら、私の好きな歌手の知っている歌を流しながら、二人で歌いながら目的地に到着した。