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エルヴィン裏作品集

第15章 消失



そして遂に、エルヴィンが成人式を迎えた。
カメラマンとして私がエルヴィンに同行する。

ミケは仕事、リヴァイは愚図ったら大変だから義実家にいる。

私は息子の成長を逃さぬ様にカメラで撮った。友人との再開に喜ぶ姿。こちらに気付いて指をさして友人とポーズを取ったり。そして式典が終わって、挨拶があるから待っててと言われて待っていると、さっきまで手にしていなかった花束を持ったエルヴィンがこちらに向かって歩いてくる。一緒に歩いて行った友人達がスマートフォンを手にして撮影しているようだ。

「え、えっ!?」

「母さん」

目の前に立つのは、20年間、手も掛からず真っ直ぐ、家族想いの優しい子でいてくれた、最愛の息子。身長はパパ譲りなのか188cmにまで伸びた。手足も長い、スーツもよく似合っている。本当に無事に育ってくれてよかった。

「まだ泣くのは早いんじゃないか?」

「っん、ごめん」

「母さん、20年間ありがとう。あなたの息子で良かった。産んでくれて、育ててくれてありがとう」

大きな花束が渡され、周りが湧く。

涙が止まらない。こんな事を出来るようになったんだ。
もう、小さかった可愛らしいエルヴィンはいないんだ、と少し寂しくはなったけれど、何よりも成長した彼を見て私は嬉しくなって泣いた。

エルヴィンが小さく笑いながら抱き締めて背中をポンポンと軽く叩いた。

「こちらこそありがとう、エルヴィンが息子で良かった、本当にありがとう。成人、おめでとう」

周りのエルヴィンの友人達を筆頭に「おめでとうー!」だとか「ハグ!」などと声が掛かる。

エルヴィンはまたハグをして、友人に礼を言って、しばらくしてから式場を後にした。




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