第2章 あなたをください
エルヴィンが馬を足を止めたのは、洋館の前。
しかし、その外観は老朽化が進んでおり、一階の窓は何枚か割れていて、壁にはツタ、庭と思しき場所は森のようになっている。
高くそびえた門には何重にも鎖が巻かれ、南京錠がされていた。
エルヴィンは馬を繋いで待たせ、門の鎖を見たが、塀沿いに歩いてある場所で足を止めた。
塀に入る亀裂。それを押せば綺麗に塀は抜けて、大人一人が屈めばやっと通れるくらいの抜け穴が現れる。エルヴィンはその抜け穴に身体をねじ込ませ、敷地内へと入っていった。
鎖が掛けられた玄関を素通りし、裏口へと回る。
裏口のドアノブに手をかけて回せば難なく開き、エルヴィンは臆することなく洋館に足を踏み入れた。