第15章 消失
誕生日会後。明日も早いエルヴィンは先に寝た。片付けをしながら私は余ったケーキを冷蔵庫に仕舞った。明日エルヴィンが帰宅したら食べるらしい。
リビングにあるソファーに座って前屈みになり、手で目元を覆うミケ。エルヴィンの誕生日会中から様子がおかしかった。理由を聞いてもダメ。私は後片付けが終わってすぐにミケの元へ駆け寄った。
「大丈夫?」
「ああ」
「本当に?」
「ああ」
横に座り、ミケの背に手を当てた直後。強い力でミケに腕を掴まれて引き寄せられ、あっという間に唇が奪われた。後頭部を抑えられたままソファーに倒される。
「っぷあ……みけっ」
「セックスしたい。いいだろう」
「ん……いいよ」
再び激しくなる口付け。
身体も熱くなってきた時だった。ガチャリとリビングのドアが開いた事で二人でそちらを見ると、エルヴィンが立っていた。
「あ……、えっと、喉乾いたから……ごめん」
気まずそうに言ったエルヴィンに謝ってミケから離れた。ミケをこっそり盗み見れば、不機嫌そうな顔をしている。仕方ないよ、怒りたいのはきっとエルヴィンの方だ。誕生日に両親がリビングで電気も付けたまま営もうとしていたのだから。
冷蔵庫から飲み物を取って飲み、もう一度謝ってリビングを出て行ったエルヴィン。それを見送ったけど完全に気分は落ち込んだ私達は、何もすることなくベッドに入ったのだった。