第13章 【合同夢】冬の夫婦の一日
エルヴィンが私にキスをした。これは……セックスしちゃう流れだ。だけどせっかくの休日に……、私はその考えがどうしても離れない。エルヴィンが欲しい……のに。
「待って、エルヴィン、待っ……」
「何故」
「まだお昼前……」
「関係ないだろ」
「でも……」
私がそう言えば、首筋にキスをしていたエルヴィンが離れた。鋭い視線が私を捕らえて、体が動かなくなった。
「なあ。ずっと気になっていたが……お前、何隠してる」
「え、どうして…」
「ずっと俺を拒んでいたじゃないか」
「拒むだなんて、そんなつもりは」
「ならなぜ、抱かれてくれない」
「だってエルヴィン、色々と忙しそうだったじゃない…」
刺すようなエルヴィンの視線に耐えきれず、顔を背けてしまった。
逃がさないと言わんばかりに、エルヴィンの大きな手が私の両肩を掴む。
「他に好きな男でも出来たか」
「え?何言って…」
予想外のエルヴィンの言葉に逸らしていた視線を戻す。なんでそうなってしまう。そんな訳ないのに。私にはエルヴィンだけなのに。
「それとも、もう俺に愛想を尽かしたか」
「エルヴィン…?」
戻した視線の先には、先程までの強いものと違って、どこか弱々しい瞳をしたエルヴィンが居た。
「すまない、俺はこんなに情けない男なんだ。拒まれていると感じてからずっと、お前が離れて言ってしまうのではないかと…そんなことばかり考えている…」
「そんな、離れるわけないでしょ!私にはエルヴィン、あなただけよ」
なんてことだ。全てはいい妻であるため、エルヴィンに釣り合う女であるためにやっていたことがエルヴィンを不安にさせてしまっていた。私の独りよがりのせいで。