第13章 【合同夢】冬の夫婦の一日
「終わったのか」
「とりあえず部屋の掃除は。あとはトイレとお風呂掃除…それからもう一度くらい洗濯しようと思ってるよ」
「トイレと風呂は俺が掃除した」
「え?!そんな、ゆっくりしててって言ったのに…」
「いつも任せきりなんだ、こういう日くらいは俺もやるよ」
「でも…ごめんなさい」
「なぜ謝る?」
普段は外で働き家庭を支えてくれているエルヴィン。そんなエルヴィンを支えたくてせめて家のことは全て私がやらないと、そんな気持ちから出た謝罪だった。
でもきっとエルヴィンはそんな風には思っていない。家のことは2人でやればいい、そう言ってくれる人なのだ。だからこれは完全に私の独りよがりでしかない。
「なんでもない。お風呂とトイレ、掃除してくれてありがとうね。洗濯してくる」
「いや、洗濯はもういいだろう」
「え?」
「今日はもう、君もゆっくりしなさい。せっかくお互いに予定のない日なんだから」
エルヴィンはそう言うと私の肩を抱き、リビングまで誘導してソファに座らせてくれた。
だめだ、落ち着かない……いや、嬉しい、けどやはりソワソワしてしまう。
「どうした?落ち着かないな」
「や、うん、洗濯物入れなきゃ……」
エルヴィンの手が膝を撫でた。それだけで下半身がきゅんと切なく疼いた。
「洗濯はもういいって言っただろ」
余談だけど、最後に営んだのは確か……ひと月かふた月前……位だ。彼も忙しいだろうと私からは全く誘わなかったし、彼も寝ながら私を抱き締めてきたりしていい雰囲気になったりはしたが、無理させるのではと考え、私が断っていた。年末年始には飲み会ばかりだったし、普段は仕事詰めだし、私はとにかく彼が心配だった。だからセックスはしなかった。彼を一番に考えられるのが良い妻、悪婦破家、悪妻は家庭を崩壊させる元になる。セックスは二の次でも三の次でもいい。
そう、考えていた。