第11章 契約者
「んっ、は……あっ……!」
「……っ」
蠢き、吸い付く膣は本当に名器だと言える。
快感にエルヴィンは腰が引きそうになるが、欲望が腰をただ振らせ続ける。人間のだった頃よりも、容赦のないセックスをしている自分。悪魔になったからと吹っ切れたのか。
「え、るびっ、ん、ひとつ、いい事っ、教えるっ」
ユリアがエルヴィンの腰に足を絡めた。
「っ何だ」
「あなたの、母親を殺し……父親を……っ、殺すよう仕向けたのはっ……わたしっ……よ」
エルヴィンは胸の奥がジリジリと焼けるような感覚がした。次の瞬間にはユリアの首に爪を食い込ませながら締め付け、そのままユリアを犯すように腰を振っていた。
「お前が……!!!父さんと……母さんを……!!!!」
「お"、あはっ、すご、い"っ……!い"っ……グぅ……っ」
「死ね、悪魔め……死、ね……っ!!!」
より一層激しく打ち込まれた腰に、互いの身体が激しく揺れて絶頂を迎えた。白目に近くなる程に目線を上に向けたユリアは、エルヴィンの血管が浮き出た腕に爪を立てて尾を引く余韻に身を任せている。
エルヴィンは呼吸を繰り返し、ユリアを睨みながらぐっと手に力を入れた。
意識を戻したユリアがエルヴィンをにやにやしながら見ている。
「怒っ、て、るの?可愛、い、ん、だから」
ググッと持ち上がるユリアの体。エルヴィンが持ち上げたのではない、ユリアが自力で起き上がった。
「私を殺したいのなら、私以上の地位にならなければ殺せない。使い魔のあなたではどんな手を使っても無理、上位である階級の私には敵わない」
「お前よりも上位、……“王”か」
「ふ、せいぜい頑張りなさい」
首を掴むエルヴィンの腕を簡単に捻って退けたユリアは立ち上がって服を正した。
「さあ、来なさい。契約したからにはしっかりと働いてもらうから」
ユリアが歩き出すと、壁の遥か下の地面が歪み、黒い穴が空いた。
そこに飛び込むユリアを目で追う。
死んで行った部下達の魂を手に、エルヴィンは漆黒の闇の中に身を落とした。