第11章 契約者
瓶を見つめたままユリアの言葉を聞く。
「エルヴィンの血を使う。コレで腕を切りなさい」
ナイフを手渡され、エルヴィンは黙って従った。
溢れた血を再び瓶の蓋を開けて中に落とし、蓋を閉めてユリアがそれをエルヴィンに手渡してきた。
「あなたが殺した部下達よ。あなたが責任をもって“王”に捧げなさい」
腕の傷はもう消えている。
瓶を見ていると、ユリアは翼が生えた姿から再び人間の姿になった。近付いてきて頬に手をやる。
「どうしても手に入れたかった、嬉しいわエルヴィン」
「何故そんなにも俺に執着する」
「理由は単純。あなたの未来に希望は無かった。それに魅力を感じただけ」
ユリアがエルヴィンの襟元を引き寄せてキスをした。キスをしながらワイシャツのボタンを外す。
「悪魔になってもセックスは必要なのか」
「使い魔はご主人様とセックス出来なきゃ地獄の檻に入れられて一生出られないのよ。……捨てられない様、しっかり御奉仕しなさい」
身体の結び付きは魂の次に強力な契約方法だとユリアが以前言っていた。エルヴィンはユリアを引き寄せて噛み付くようにキスをする。
ユリアは悪魔だが甘い。どこを舐めたとしても。そして一度達するまでは絶対に行為が止められない。きっと契約をする上で催淫的な何かが働いているのだろう。
「んっ、う……ちょっと、あなたのが背が高いんだから屈みなさ……ん、」
「すまない、人間相手でないとどうしても優しくは出来ないらしい」
ユリアは自分を目線だけで見下ろすエルヴィンにゾクリとした。