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エルヴィン裏作品集

第1章 秘事は睫



「ところで、調査兵団の幹部を私はやっているんだが、どうも昔から眠りが浅くてな。見兼ねた優しい部下が私にと睡眠薬をくれたんだ」

唐突に始まった会話。何の話か分からず黙って聞く。

「私程に眠りが浅いのはなかなか居ないらしくてね、割と強力なものなんだ。私ならば飲んで暫くしたら気持ち良く眠りにつけるんだが・・・普通の者なら少量でも服薬すれば即座に効果が出て、更には長時間眠り、何をしても起きないらしい。部下が臨床試験まで行ったらしいから確かな情報だ」

ユリアの足を、足先からキスしていき、骨盤の辺りに降りていって止まった。

「ユリア、君はなんだか部屋が静か過ぎるとは思わないか?」

「・・・へ?」

エルヴィンがユリアの足元から避けると、ベッドの向こうにいる公爵の姿が目に入るのだが、完全に寝落ちている。

「え・・・え・・・あ!?まさか・・・!」

睡眠薬を公爵に飲ませた・・・!?と目線でエルヴィンに言えば、エルヴィンは脱いでもいないズボンのポケットから小分けにされた包みを出してユリアの胸元に置いた。

「もう少し警備を強化すべきだな?相手が調査兵団の幹部とはいえ詰めが甘いようだ。護衛も簡単に撒けたぞ」

「・・・」

開いた口が塞がらないままのユリアをそのままに、エルヴィンは公爵の体を調べる。そして何やら見つけてまた戻ってきた。

手にしていたのは鍵が複数付いた輪。

その中から一際小さな鍵を手にして、ユリアの手枷の鍵穴に挿し、解錠した。


「可哀想に、跡が付いてしまったな」

「・・・鍵、飲み込んだと言っていたのに・・・コイツ・・・」

「逃げる気力を奪う為のフェイクだろう。まあ・・・公爵はやり兼ねないからコレは予備の鍵だ」

エルヴィンがユリアにタオルケットを羽織らせる。


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