第10章 性的趣向 ②
「良いな。……じゃあ、料理してくれ。楽しみにしてる」
スタスタと部屋に行くエルヴィン。
ちょっと拍子抜けだ。絶対この流れはセックスする流れだと思った。もしくは料理中に視姦されたりするのかとも思っていたのに。
何もされないのが腑に落ちなくなっているのが異常な感覚だと気付きもしないユリアは、暖まってきたキッチンでクリスマスディナーを作り始めた。
ーーーーディナー作りもラストである、グラタンを焼く最中。ふとエルヴィンが気になり、トイレに行くフリをしてチラリと部屋を覗くとカメラの画面を見るエルヴィンがソファーに座っていた。空いた手は股間にあり、上下に擦られている。
やっぱりね、と妙に納得した。
彼がいい子に我慢なんて出来るはずがない。
「エルヴィンくーん?」
ビクリと体を揺らすエルヴィン。
「いい子にしていないとー、ユリアサンタさんは厳しいサンタさんなので、プレゼントを持ってきてくれませんよー?」
そう言うと、エルヴィンは限界そうな顔をこちらに向けて静かに反り勃つソレを納めた。
「いい子。待っててね、すぐ出来るから」
オーブンから出来上がりを知らせる音が鳴る。
圧力鍋でビーフシチュー、予約したローストビーフに、クリスマスリースを模したサラダ、パン。
沢山食べるエルヴィンの為にと、簡単で出来上がりが沢山あるものを作った。
「エルヴィン、出来たー!運ぶの手伝ってー!」
返事がない。それに、ユリアが帰宅時に着けていた下着も消えている。まさか……
部屋に行くと、ソファーで前屈みになるエルヴィンが目に入った。
「……エルヴィンさん……?何されてるんでしょうか」
エルヴィンの足元に膝を着いて肩を押すと、片手にはブラ、片手にあるパンツはエルヴィンのモノに被せられ、それには明らかに射精の跡が。
「あーあ、残念。いい子にできなかったのでユリアサンタさんからのプレゼントもご飯も無しだね。ご飯は私一人で食べちゃお」
もう一度「あーあ」と言って立ち上がり背を向けると、腕が突然引っ張られ、ソファーに勢い良く尻餅を着いた。