第9章 夫婦の在り方
「……来た」
リヴァイだ。スマートフォンで何やら話しながら早足で歩く。こっちはエルヴィンの自宅方向だ。
リヴァイは途中でドラッグストアに立ち寄った。ここはエルヴィン夫婦もよく利用するドラッグストア。
出入口から離れてリヴァイが出るのを待つ。
手に袋を持ったリヴァイが出て来た。
嫌な予感ばかりする。エルヴィンのその予感は、見事に的中した。
「同じ、マンション……だと」
エルヴィンはずっと、画面越しにユリアを観ながらも、同じ建物内にいたということだ。
リヴァイの後に続いて、リヴァイの降りた階のポストを見た。
エルヴィン達の部屋より5階下。
「……いた」
ーAckermanー
エルヴィンはポストを殴り、エレベーターに乗り込んだ。
「早くしろ……早く……」
タワーマンションであることを初めて煩わしく思う。
リヴァイの部屋がある階で止まった。
エルヴィンが階に降り、部屋の番号を睨みながら歩を進める。
「……」
どうする。喚き散らすのは賢くない。だがインターホンから対応されれば間違いなく会う事は叶わない、どうする。ユリア……
怒りと焦燥感でエルヴィンは気が付かなかった。
背後から忍び寄る影に。
首に鈍痛が走り、頭が揺れたかと思えば、地面に叩きつけられた。
エルヴィンの意識はそこで絶えた。