第8章 痴漢、ダメ、絶対。
やばい、身体が動かない。
ユリアはこの状況に、酷く興奮を覚えていた。夢か?夢じゃないのか?夢オチだけは勘弁して欲しい。ユリアはうるさいくらいに脈打つ心臓で息が上がる。
「可愛かったよ、嫌がりもしないで受け入れる姿は」
グッとエルヴィンが足を割って入ってきた。
「車内でいやらしい女のソレだったカルデリアが、授業中こっそりと俺なんかの心配をしてくるもんだから……危うく連れ出すところだったんだぞ」
「や……待っ……センセ……やだ、やめっ……」
「あの日は体調不良なんかじゃなかったんだ。お前に股を擦り付けていたら恥ずかしながら酷い興奮でイッてしまってね」
ユリアの静止を無視してユリアの身体を押してワイシャツのボタンを外していく。
「やだ、待ってください!先生っ」
ユリアは身体を捩らせて床に伏せるように腹這いになった。
「お……おかしいですよ先「お前、俺が好きなんだろう」
被されたその言葉にエルヴィンを見る。
「なぁ、そうだろう」
エルヴィンの手がユリアの頭を撫で、顔を撫でた。
「俺はカルデリアが好きだ。自分の理性がなくなる程に。お前は?俺が嫌いか?」
憧れた先生。ずっと好きで、通学路が同じになった時も嬉しくて。……通学路、も?先生が引っ越してきたのも……痴漢に遭った日くらいから……?
「カルデリア、答えなさい」
エルヴィンが唇に触れた。
「わ、たし……私……、は、先生が……大好きです」
勝手に涙が出た。何故なのかは分からないけど、とにかく嬉しいのかも知れない。
「先生が痴漢……の、人なんですか」
「ああ」
「私、先生のせいで……おかしくて……だから……その、」
「うん」
「私……」
エルヴィンが近付く。額が当たった。
「ハッキリ言いなさい」
「私……と、えっち……して下さい」
「……ああ、よく出来た。ご褒美だ」
みんなには内緒だからな、とエルヴィンは言ってユリアにキスを落とした。