第10章 風 邪 っ ぴ き に ご 用 心
一郎「悪いな、いきなり押しかけちまって」
『いや、こっちこそ…間違えて電話しちゃってごめんね?』
一郎くんはコンビニで買ってきたであろう品が入った袋をテーブルに置けばソファーへと腰掛けた。
一郎「誰と間違えたんだ?電話…」
一郎くんは眉を下げて少し悲しそうな表情を見せた。
『えっ…あ、えっと…病院の先生…すごく辛かったから、何かこうゆう時和らげる方法でも聞こうかなって思って…』
一郎「あっ…そ、そうだったのか!つーか、辛いなら頼れよ…いつだって駆けつけてやんのによ」
心做しか私の言葉を聞いて安心したような表情を浮かべる一郎くん。
……なんだその安堵の表情は。
『いや、それは申し訳ないかなって…』
一郎「申し訳なくねぇって。今度から俺に連絡しろよ?」
『…ありがとう、一郎くん』
一郎くんの気遣いがすごく嬉しく思った。
頼れる人がいるってこんなにも心強いんだな…
さっきまで一人でマイナスになっていたのがアホらしく思える。
私は少し一郎くんから離れて隣に座る。
すると一郎くんは不思議そうに私の顔を見た。
一郎「なんだ、その距離感」
『いや、風邪移しちゃったら嫌だから…』
一郎「そう簡単に移るほどヤワじゃねぇって。あ、これコンビニで軽く買ってきた。そのダルそうな感じじゃ飯も食ってねぇだろ?フルーツゼリーとスポーツドリンクと…風邪薬買ってきたから」
袋から買ってきた品をテーブルに出してくれる一郎くん。
なんですか、このスパダリ感は…最高すぎない?
これで年下って…いやもうかっこよすぎでしょう…。
『本当にありがとう…一郎くん』
一郎「いいって。俺が勝手にやってるだけだし」
あぁ、私もこんな彼氏欲しいなぁ…
一郎くんの彼女になった子幸せものでは?
そんな子に看病してもらえる私も幸せものだ…