第10章 風 邪 っ ぴ き に ご 用 心
一郎「もしかして体調悪いのか?」
まさかの図星を付かれて何も言えなくなる。
『えっと……その…』
一郎「図星かよ…大丈夫なのか?」
『全然、大丈夫…!』
一郎「………それならいいけどな。名前ってヨコハマだったよな?」
『え?あ…うん…そうだけど、それがどうしたの?』
一郎「いや、近ければ看病くらい行けるかもって思ってな」
そんなこと思ってくれてたんだ…
その気持ちだけでなんだか凄く嬉しいな…
『ありがとう一郎くん。優しいね』
一郎「好きな奴には良くしてやりてぇだろ?」
……………好きな奴…???
私はその言葉に熱で朦朧としている頭をフル回転させて考える。
好きな奴って…私に言ってる…???
『好きな奴って……』
一郎「あっ、いや…好きって言うのはその…なんつーか、友達みたいな感じの好きって意味で…!」
『へへ、嬉しい。ありがとう一郎くん!私も一郎くん大好き』
一郎「っ……そうゆう事軽々しく言うな…!」
『なんで?一郎くんだって言ってるじゃん?』
一郎「それはそうだけどっ………。あ、話変わるけどよ…今度名前の家に遊びに行きてぇから住所教えといてもらってもいいか?」
『あ、そっか。一郎くん来たことないんだもんね、じゃあ今から言うね』
電話越しでも照れているのがよく分かった。
なんだか可愛いなぁなんて思っていれば、いきなり住所を教えてと言われ一郎くんならいいかと思いながら住所を教えた。
一郎くんとその後も他愛のない話をして電話を切った。
『はぁ…またイケブクロ行きたくなっちゃったなぁ…』
そう思いながら再びソファーに寝転んだ。
心做しかさっきより辛くないかも…。