第10章 風 邪 っ ぴ き に ご 用 心
夕暮れの街を走りゆく車。
私は窓の外を眺めながらぼーっとする。
すると、入間さんが声を掛けてきた。
入間「今日はどうだったんです?仕事の方は」
『えっ?あぁ、ちょっと失敗したんですけど…問題なかったですよ』
入間「ならいいんですが。どこか疲れているように見えたので」
入間さんの言葉に驚き、自分そんな疲れを表に出していたのかと思えばなんだか申し訳ない気分になる。
「そんなに表に出てましたか…!?……まぁちょっと慣れない仕事、ってゆうか…だから疲れたんだと思います」
苦笑いを浮かべながらまっすぐ前を見る。
そんな他愛のない話をしていれば、あまり遠くない自宅へと到着して入間さんは私の顔をじっと見てきた。
入間「………………………」
見られていることに気づけば私はビックリし入間さんを見返す。
『い、入間さん……?』
入間「なんだか顔が赤いような」
『えっ?』
入間「少し失礼します」
そう言うと入間さんは私の額と自分の額をくっ付けてきた。
ち、近っ…!!!!!
いきなりのことにビックリしてしまい、一気に顔が赤くなってしまう。
『い、いいいいい入間さん…!?!?!?』
イケメンな顔が近くにあることにパニック状態になっていれば、ゆっくりと入間さんの顔が離れた。
入間「熱がありますね」
『ね、熱…?』
入間「ええ、なんだか帰りもぼーっとしていましたし…顔も赤かったのでもしかしたらと思いまして」
私熱ある?無自覚って怖い……
さっき水かけられて寒かったから風邪でも引いたかな?
『そういえば…ちょっと寒気してました…』
入間「はぁ、世話が焼けますね。部屋まで送っていきます」
入間さんは運転席から降りれば、助手席側に来てはドアを開け私をお姫様抱っこして自宅へと運んでくれる。
『ちょっ、そ、そこまでしなくても!歩けます…!』
入間「大人しくしてください。このまま手放しますよ?」
この高身長の高さから手を離され落とされたら怪我案件になると思い私は黙って大人しくした。