第9章 何 か が 違 う
あれから左馬刻さんは一言も喋らない。
いやなんで…!?
すごく気まずいんですけど……!
理鶯さんもさっきまで一緒に居てくれたけど、今日の食材の調達に行くって言って出ていっちゃったし……
左馬刻さんと二人っきりでずっと沈黙が続いてて本当に気まずいに心做しか胃がキリキリする………
帰りたいけど…一応バイト?みたいなものだし…勝手に帰る訳にはいかないよね…
『は……はっ、くしゅん…!』
いや、待って…このタイミングでくしゃみとか…間が悪すぎない!?
更に気まずさ増し増しなんですけど……!
私のくしゃみにハッとしたのか、左馬刻さんは部屋を出ていってしまった。
『…………はぁ…』
私特に悪いことしてないよね…?
左馬刻さん怒ってるのかな…いやなんで?
さっき水をぶっかけられたせいでなんか寒気するし……
これは風邪フラグかな………
自分の身体を抱き締めれば少しでも暖まるように腕をさする
すると左馬刻さんが再び部屋に戻ってきた。
左馬刻「…風邪引くぞ」
そう言って左馬刻さんは私の隣に腰掛けて、タオルを私の頭にかけてわしゃわしゃと拭いてくれる。
『えっ…あ、ありがとうございます…』
左馬刻「…悪かったな、巻き込んでよ」
左馬刻さんの顔を見れば、バツが悪そうに目を逸らされる。
怒ってるんじゃなくて、私の事気にしてくれてたんだ…と思うと心がぽっと温かくなった。
『気にしないでください。勝手にあの女の人を招き入れたのは私ですし……』
左馬刻「今度誰かが来ても絶対に入れんなよ。お前が巻き込まれんのは気分が悪ぃから」
『……左馬刻さんって怖そうに見えてやっぱり優しいですよね!』
左馬刻「うるせぇ。お前が世話かけるからだろうが」
『えへ、左馬刻さん大好きです』
私の言葉に驚いたように目を見開き、すぐに目を逸らしてしまう左馬刻さん。
一見ぶっきらぼうだし口も悪いし怖そうに見えるけど、本当に優しい左馬刻が私は好きだ。