第5章 新 た な る 職
あれから男の子は何故か私の手を握ったまま、迷うことなく目的地への道を歩いていく
本当に慣れてるんだなぁ…なんて思いながら、少し前を歩く男の子を見る
すると、いきなり男の子は振り返った
?「あ、自己紹介まだだったよね?僕は飴村乱数!デザイナーやってるから、ファッションの事なら任せて☆」
見た目小学生なのにデザイナー…すごいなぁ、思ったよりも立派な子だった……
『あ、私は苗字名前。最近ヨコハマに引っ越してきたの』
乱数「え!?ヨコハマ!?じゃあじゃあ!左馬刻の事知ってる?」
『………え?』
いきなり乱数くんの口から飛び出した"左馬刻"という名前
確かに聞き覚えはある…確か白髪の強面イケメンの人だったような……って、なんで乱数くんみたいな可愛い子があんな強面な人と知り合いなの!?
しかも私があんまり好きじゃない人……とりあえず知らないふりをしとこう。
『えーっと、そんな名前初めて聞いたかも…?』
乱数「そうなの?でも、ヨコハマに住んでる以上絶対会うと思うよ!左馬刻はヨコハマの王様だからねぇ☆」
『…王様……?』
乱数「うん!ヨコハマを仕切ってるって感じ♪そのシブヤバージョンが僕だよ☆」
……え?ヨコハマを仕切ってる?
ってことは…下手な真似したら殺される…?
いやいやいやいや、やばいよ?
今すぐ引っ越し手続きしないと命失うよ私!
この間だって勝手に逃げてきちゃったし…はぁ、どうしよう……
不安で俯いていれば、乱数は面白そうに笑っていた
乱数「あはっ☆大丈夫だよ、多分!」
『今多分って言った…!』
乱数「だってー、左馬刻が何するかなんて僕にはわかんないもーん」
『そ、それはそうかもしれないけど…』
乱数「ま、きっと大丈夫だよ☆」
こいつ…他人事だと思って…!!!
そんな怒りを抱きながら歩くこと数分、無事に目的地へと到着した
『あ、あの、乱数くん。案内してくれてありがとう!すごく助かった!』
お礼をいえば、乱数くんはお店をじーっと見ていた
乱数「ここって…ドレス専門店?オネェさんドレスなんて着るの?」
『いや、その…色々ありまして……』