第5章 新 た な る 職
『ちょっと…!待って…!』
駅から少し離れた所で、私はやっと男の子を捕まえた
すると男の子は横目で私を見た
?「なぁに?僕忙しいんだけど」
『いや、あ、あのっ…その…』
さっきまでの可愛い感じからは、あまり想像つかないような冷たい目をする男の子
この子…そんなに怒ってるの…?
だって…初対面であんなグイグイ来られたらちょっと対応に困ると思うんだよね…誰でも…!
なんて言ったらいいか分からずに黙り込んでいれば、男の子は私が手に持っていた地図のメモをパシッと取り上げた
『あっ……』
?「んー、ここって結構入り組んでるから…都会に慣れてない人だとたどり着けないかもねぇ」
『えっと…教えてくれる気は…』
?「うん、ないよ☆」
冷たい顔をしていたかと思えば、今度は可愛らしい笑顔に戻る男の子
喜怒哀楽激しいにも程があるよ……って…教える気ないってはっきり言ってるし!
別にこの辺にいるのはこの子だけじゃないし…他の人に聞いて言った方がいいよね…このままここに居ても教えてくれなさそうだし…
『あの、私他の人に聞くので大丈夫です…だからその地図返しt』
言葉を言い終わる前に、男の子は地図のメモをぐしゃっと握り潰した
…………は?何してんのこの子…!?
その地図なかったら道聞けないじゃん…!!
え?この子正気…!?
『ちょ、地図になんてことっ…!』
?「えへ。ごめーんねっ☆」
『いや…いやいやいやいや、ごめーんねっ☆じゃないから!!!それなかったら私道わからないんですけど!?』
?「えー、僕は分かるよ?」
『キミが分かったところで意味無いでしょ…!?どうせ教えてくれないんだし…!』
?「僕は最初から教えてあげようって思ってたよ?でもオネェさんが無下にしたんでしょ?」
『そ、それは謝る!ごめんなさい…!だから道を教えて…ほんとに…!てか地図をダメにしたんだから責任持って教えるのが普通だよね!?』
?「責任?ふーん…責任ねぇ…」
男の子は顎に手を当てて何かを考える素振りを見せた
すると、私の顔を見てにっこり笑った