第4章 未 知 の 世 界
『あ、あの……!』
一二三「ん?どうしたんだい?」
『一二三くんって…独歩くんと一緒に住んでる人…?』
一二三「まぁ同居はしているけど…いきなりどうしたんだい?」
やっぱり今朝会った一二三くんだ……
独歩くんを知ってて、その上同居してて見た目も同じとか…やっぱりあの女性恐怖症の一二三くんだよね…?
なんで女性恐怖症なのにホスト…!?
てか普通に女性と話してるけど…今朝は私を追い払う為の演技…?
だとしたら私一二三くんにめっちゃくちゃ嫌われてるじゃん…!!!
仕事だからニコニコして私に優しくしてくれてるけど…腹の底では「何だこいつ、早く帰れよ。そして二度と独歩の家に来んな」とか思ってるんだきっと…怖い…怖すぎる……!!
どうよう、帰ろうかな…
いや帰った方がいいって…まじで
『あのぉ……私帰りますね…』
一二三「え!?まだ何も飲んでいないじゃないか…!もう少し楽しんでいってよ、子猫ちゃん」
『で、でも……』
…お前がホラー過ぎるから帰りたいなんて絶対に言えない
すると一二三くんが私にシャンパンらしきものをグラスに注いでくれた
一二三「僕の知り合いってことで安くしておくから、ね?」
グラスを差し出しながらウインクをしてくる一二三くん
いや、待って。
え?なんか勝手にシャンパン開けられたんだけど…!?
嘘でしょ…安くしとくと言いつつ会計をするのはアンタじゃないからがっぽり取られるよ?ねえ、私明日からどうやって生きるの?まだ職も決まってないのに…!!
とりあえずグラスを受け取れば、はぁっとため息を吐いた
その様子に一二三くんが心配げに顔を覗き込んできた
一二三「何か悩みでも?」
『あ、うん…私、都会に来て間もなくて…都会にも慣れないし、何より職も決まってなくて…』
一二三「そうか…職か…」
一二三くんは考えるように顎に手を当てればハッとしたような顔をした
一二三「子猫ちゃんは可愛いから、夜の仕事なんてどうかな?この店と同じ系列の水商売なんだけど…今人手が足りてないみたいでさ」
『え、それって雑用でもいいの…?』
一二三「雑用って…それは分からないけど…。子猫ちゃんは雑用より表舞台に立つ方が輝けると思うよ?」
私にそんなことが勤まるのか…?
表舞台って、一体……