第3章 気 分 転 換
一郎「悪い…、言いたくなければ言わなくていいからな」
『すみません…思い出したくない記憶でして…』
すると一郎は察したのか、何も言わずに再び頭を撫でてくれた
その優しさにキュンとしたのは言うまでもない
すると、一郎は私の顔を覗き込みながら尋ねてきた
一郎「名前はイケブクロ住みなのか?」
『あ、ううん。私、最近田舎からヨコハマに引っ越してきたの』
一郎/二郎「ヨコハマ…!?」
ヨコハマと言った途端、二人は驚いたような顔をした
え…?そんなに驚く?
なんて思いながら二人を見ていれば、二人は話し出した
一郎「よりによってヨコハマか…」
二郎「ヨコハマで何かされてない?大丈夫?」
二郎の言葉につい顔が引き攣る
だってもう色々あったもん…ヨコハマ…
でもこの二人もヨコハマにはいいイメージないっぽいし…黙っておこう…
『ヨコハマ慣れないけど、大丈夫だよ?今日はちょっと気分転換でイケブクロに来てみたんだ』
一郎「そうだったのか…。あ、もしなんかあったら電話してこい」
一郎は萬屋の名刺を渡してきた
『え、いいの…?』
一郎「あぁ、もちろんだ。いつでも力になってやる」
『あ、ありがとうございます…!すっごく心強いです…!』
あぁ、財布拾ってよかった…!
怪我したけど、いい物を得た…なんか味方が増えたみたいで嬉しいな…
そう思えば自然と笑みがこぼれた
二郎「可愛い…」
『……へ?』
二郎「あ、いや…何でもねぇ…!」
なんか今可愛いって言われたような?
……気のせいか…そうだよね、うん
私可愛いなんて言われたことないし!
そんな中、玄関の方から誰かの声がした
?「いち兄ただいまー!」