第3章 気 分 転 換

そんな私に気が付いたのか、財布を落とした帽子を被った男の子が慌てたようにこちらへ近寄ってきた


？「だ、大丈夫か？」


『あっ…だ、だだだ大丈夫です…！それよりっ、これ落としましたよ…？』


転んだ衝撃で痛みが伴いなかなか起き上がれず、そのままの状態で相手に財布だけを差し出した


？「えっ、俺落としてたのか…」


『落とした所目撃したので、追いかけてきました…。とりあえず無事に届けられてよかった…』


地面にうつ伏せになりつつもホッとしていれば、財布を受け取った相手が私に手をそーっと差し出してきた


？「ごめんな…気付かなくて。立てるか…？」


『あ、ありがとうございます…』


私はお言葉に甘えて相手の手を取りゆっくりと体を起こした
そして自分の膝や腕に目をやれば、案の定血が出ているのが目に入った


『うわっ……やってしまった…』


？「…………」


痛いなぁ…なんて思いながら傷口を見ていれば、いきなり黙り込んでしまった相手をチラッと見た
すると、私の傷口を見ていた相手は顔を青ざめた


え…なんでこの人顔青くなってるの…
もしかして血が苦手とかそうゆうこと？
それなら悪いから早くこの場から立ち退くか…もう財布渡したし、この人に用はないよね


『あの、じゃあ私はこれで…』


？「あ、待って…！」


来た道を戻ろうとすれば、いきなりガシッと手首を掴まれた

え？もういいよこのパターン…！！！
私都会に来てから何回手首掴まれてるの…？
そろそろ手首掴まれる恐怖症になるよ？

そんなことを思いながら相手を見れば、その子は自分のした行為に顔を赤くし慌てて手首を離した

なに…可愛いこの子。


？「わ、悪い…！そ、その…その傷…手当しないと…」


『あ、コンビニで絆創膏買うから大丈夫だよ？』


？「いやっ…俺のせいで怪我させちゃった訳だし…手当くらい…させてもらいたいなと…」


見た目不良っぽいけど、案外いい子なんだ…
手当してもらえるならしてもらった方がいっか…
この血みどろでその辺フラフラしたくないし…