第14章 山 田 家
一郎「ん………」
暫くして俺は眠りから目を覚ました。
あれから寝ちまったのか……
やっぱり風邪薬飲むと眠くなるな……
とりあえずトイレにでも行くか…なんて思い身体を起こせば、手を握られている感覚に気付きふと目線を落とした。
するとそこには俺の手を握りながらベッドの縁に、自らの腕に頭を乗せて寝ている名前の姿があった。
一郎「…………えっ」
なんで名前が?
見舞いに来て冷えピタ変えてくれたまでは覚えてっけど…その後が思い出せねぇ……熱があったせいか記憶が吹っ飛んでやがる……
俺が一人でパニクっていれば、名前も目を覚ました。
『んん……ふぁあ…あっ、一郎くん起きてたの?ごめんね…私もいつの間にか寝ちゃってた…』
一郎「えっ…あ、あぁ…」
目を覚ました私は自然と一郎くんの手を離して、固まった身体をうーんと伸ばす。
そしてふと窓を見れば、あっという間に薄暗くなっていた。
『あ、もう外暗くなってきてる…時間ってあっという間だね』
一郎「おう…悪いな、俺が付き合わせちまったから」
『いやいや、そんな事ないよ!完全に暗くなると道わからなくなるから早めに帰るね?』
一郎「夜道危ねぇから送ってく」
『えっ、いや、大丈夫だよ?外出たらまた熱上がっちゃうと思うし…』
こんなに体調悪いのに送っていくとかどんだけ優男なの?
スパダリってこうゆう人の事を言うのかな?
一郎「なら、二郎か三郎に駅まで送ってもらってくれ…」
『いや、それは無理だよ…何かあったら私責任取れないし。私は一人で大丈夫だから気にしないで?』
一郎「いーや、絶対に一人は許さねぇ。お前に何かあったら…」
『ないない、あるわけないでしょ?それにイケブクロ結構明るいし人も多いから大丈夫だよ』
一郎「ダメだ」
………いや、頑固すぎん!?
心配性なのかな?パパ???パパ並の過保護さなんですけど?
私がアホだから何か事件に巻き込まれるとか思ってるのかな?
心配かけてごめんよ一郎くん……
そんな中、一郎くんは一言口を開いた。