第14章 山 田 家
『一郎くん…?』
一郎「あっ……悪ぃ」
私が振り向けば、一郎くんは慌てて手を離した。
…やっぱり体調悪いから心細いのかな…なんて思えば、私は再びベッドの横に腰を下ろせば一郎くんの手を握った。
『体調悪いと心細い…よね。私が風邪引いた時は一郎くんがそばに居てくれから、今度は私がいてあげるね』
一郎「っ………」
一郎くんはどこか嬉しそうな表情をしているものの、何故か先程より顔が赤くて熱が上がったのでは?と思い私はつい一郎くんの頬に手を当てる。
『なんか、熱上がった?早く横になったほうがいいよ?』
私は一郎くんの肩を押せばベッドに強引に寝かせる。
そして握った手はそのままにそっと髪を撫でてあげる。
一郎「おい…そんな事しなくても…」
『弱ってる時くらい甘えていいんだよ』
一郎「……はぁ……まじで好き…」
一郎くんは目を閉じて、何かを噛み締めるように聞こえないくらいのか細い声で何かを呟いた。
『え?なんて…?聞こえなかった…』
一郎「なんでもねぇ…独り言だ」
『そう?ならいいけど…あ、私に構わず少し寝た方がいいよ?ちょっとは楽になるかも』
一郎「おう、サンキュ…(こんな幸せな空間で寝るとかもったいなさすぎだろ…)」
一郎はそんなことを思いつつも、風邪薬のせいか段々と目が閉じてきてはそのまま寝息を立てて寝てしまった。
『おやすみ、一郎くん』
私は一郎くんの髪を撫でながら寝顔をしばらくみていれば、部屋が暖房で暖かいせいか自分まで眠気に襲われ座ったままベッドに頭を乗せてそのまま眠ってしまった。