第14章 山 田 家
二郎「名前ちゃん」
一郎くんを目で追ってしまっていれば、いきなり二郎ちゃんに名前を呼ばれてハッとした。
『ん?あ、なに…?』
二郎「兄ちゃんの熱さまシートそろそろ取り替える時間だから、名前ちゃんに頼んでもいいか?」
『えっ…』
私が熱さまシートを貼り変える…だと?
あんなに嫌がられてるのに私が行って大丈夫なのかな…
そう思いすぐに返事出来ずに戸惑っていれば、二郎ちゃんは私に冷えピタを手渡してきた。
二郎「俺やる事あるから、頼んだ」
それだけ言えば、二郎ちゃんも部屋に戻って行ってしまった。
二郎ちゃん…なんで…!?
何故私に行かせるのか意味がわからずにいるも、もたついてる私を見兼ねて三郎くんが声をかけてくる。
三郎「いち兄の見舞いに来たんだから少しくらい世話していけよ。いち兄の部屋は突き当たり右だから」
それだけ言えば、三郎くんもグラスの破片を片付けた後リビングのソファーに座りながらテレビを見始めた。
……やっぱり私が行かなきゃダメなんだね…はぁ、しかたない…一郎くんには申し訳ないけど看病しに行くか…
私は手に持った冷えピタを見ながら一郎くんの部屋に行くことを決意した。
〜 一郎の部屋の前 〜
『ここが一郎くんの部屋かぁ…さっきの反応見た後だからなんか緊張する』
そう思いつつ、私はそっと部屋のドアをノックした。
すると中から少し辛そうな一郎くんの声が聞こえた。
一郎「おう、入っていいぞ…」
その言葉を確認すれば、私はそっと部屋のドアを開けて中へと足を踏み入れた。