第14章 山 田 家
リビングのドアが勝手に開いたのかと驚く一郎の目先に名前の姿が移り、一郎はコップを床に落とした派手にグラスを割った。
『い、一郎くん!?大丈夫!?』
部屋に入るなりグラスを割る音に私は驚き肩を揺らした。
一郎くん起きてきてたんだ…いるはずの無い私がいるんだもんビックリするよね…
そう思いながら苦笑いを浮かべるも、グラスを割った一郎くんを心配して私はすぐにキッチンの方へと行く。
『怪我してない…?』
一郎「お、おう…つか、名前来てたのかっ…」
『うん。一応一郎くんのお見舞いに来たんだけど…外で二郎ちゃんと話してたら雨に打たれちゃって…二郎ちゃんが心配して着替えを貸してくれたの。ごめんね、急に上がり込んだりして』
一郎「いや、別にそれはいいけどよ…」
一郎くんは何故かソワソワしていて後頭部に手を置いて髪をガシガシと撫でる。
その様子に二郎と三郎は不審そうに一郎を見ていた。
三郎「一郎タジタジだな…」
二郎「あんな兄ちゃん見たことねぇ…」
『グラス片付けるね?』
一郎「あ、怪我しちまうからいいって…そんなもん」
私がグラスを片付けようとすればすぐに止められる。
すると、気を利かした三郎くんがホウキとちりとりを持ってきてくれた。
三郎「僕がやるからあっちに行ってて」
『えっ、でも…』
三郎「いいから。いち兄も部屋で休んでください。顔赤いですし…まだ熱が高いかも…」
一郎「おう…悪いな三郎。ならもう少し休ませてもらうわ」
一郎くんは三郎くんの言うことを聞いて、すぐに部屋に戻っていってしまった。
そんな中三郎くんは手際よく破片の掃除をしてくれる。
私…一郎くんに嫌われた…!?
いつもと違う様子の一郎くんが気になり、つい一郎くんの去る背中を目で追ってしまった。