第14章 山 田 家
『あ、二郎ちゃ…うわっ…!』
ドアが開き二郎ちゃんが入ってきたのかと思い声をかけようとすれば、相手の姿を確認する前に白いタオルを投げられびっくりしてしまう。
三郎「あんな低脳と一緒にしないでくれる?」
『へ?さ、三郎くん…?』
タオルを投げてきたのは三郎くんだった。
予想外の出来事に私はフリーズしてしまう。
三郎くんがタオルを持ってきてくれるとか…想定外過ぎない…?
えっ…嬉しすぎて泣きそう…思春期の息子を持った母親の気持ちってこんな感じなのかな…なんて思いながらじーっと三郎くんを見ていれば、ふいっと顔を背けてしまった。
三郎「ジロジロ見るなよ…」
『あ、ごめん…』
三郎「…早く拭けば?風邪ひきたくなければね」
『三郎くん…ありがとう』
三郎「べ、別に…お前のためじゃないし。また風邪でも引かれていち兄に移されたら嫌だからっ…」
……可愛い…ツンデレってこんな感じなんだ…
は?可愛い…無理…ぎゅーしたいくらい可愛い…
そんな気持ちを抑えながら平常心を保つ。
『三郎くんもお兄ちゃんに似て優しいね』
三郎「お前にだけは優しくしない」
『タオル持ってきてくれたし…優しいよ』
三郎「っ……」
三郎くんは何故か顔を真っ赤にさせながら俯いてしまった。
可愛い…本当に可愛い…なんだこの可愛い生き物は。
そんなやり取りをしていれば、着替えとタオルを持った二郎ちゃんがリビングに戻ってきた。