第13章 看 病
『あ、止んだね…雨』
私は空を見ながら二郎ちゃんに声を掛ける。
その声に二郎ちゃんも空を見上げた。
二郎「すぐ止みすぎだろ…」
『長引かなくて良かったね?ずっとここにいる訳にもいかないし』
二郎「…おう」
二郎ちゃんはどこか名残惜しそうにキレの悪い返事をする。
…そんなに雨が良かったのかな?と思いつつも二郎ちゃんの顔を見ていれば、見られていることに気付いた二郎ちゃんはすぐに顔を逸らしてしまった。
また頬を赤くしてる…可愛い…。
そんな事を思いながらも、二郎ちゃんから借りた上着を脱ぎそのまま二郎ちゃんに差し出す。
『貸してくれてありがとね?私…今日は帰るね?』
一応、上着を受け取ってくれる二郎ちゃん。
少し俯いた後にすぐに私の方に目を向けた。
二郎「そのまま帰んのか?」
『うん、着替えとか持ってないし…とりあえず帰ってシャワー浴びるよ。二郎ちゃんも風邪ひかないうちに家に帰って暖まってね?』
それだけ言い残して踵を返して帰ろうとすれば、いきなり後ろから腕を引かれた。
二郎「ちょっと待って」
『?どうしたの…?』
二郎「やっぱりそのまま返すのはちょっと…」
『大丈夫だよ、今日はタクシーで帰るし』
二郎「いや、ダメ。着替えくらいは貸すから家に来て」
そう言って私の腕を引きながら山田家へ向かう二郎ちゃん。
えっ…ちょっ、ちょちょちょ…!!!
自宅は無理だって…!三郎くんのガード硬いし…!
『あ、あの、二郎ちゃん!?私大丈夫だから…!』
二郎「全然大丈夫じゃないから。つーか、兄ちゃんの見舞いに来たって言ってたしちょうどいいじゃん」
『いや、それはそうだけど…!』
私は二郎ちゃんに引きづられながらも結局ついて行くことになった。