第13章 看 病
二郎「こっち来い…!」
私は二郎ちゃんに手を掴まれ、そのまま屋根のある場所へと避難した。
『ありがとう二郎ちゃん。ほんと、いきなり降ってきたね…』
二郎「…大丈夫か?」
『あ、うん。大丈夫だよ!二郎ちゃんは大丈夫?』
二郎「おう。結構濡れたな…」
『ごめんね…私のせいで…。二郎ちゃんあのまま家に帰ってれば雨に打たれなくて済んだのに…』
二郎「別に気にすんなって。俺が勝手に連れてきただけだし…」
『…やっぱり二郎ちゃんは優しいんだね』
その言葉に二郎ちゃんは顔を少し赤くしながら目を逸らした。
二郎「別に…」
『顔赤くなってて可愛い……は、くしょん…!』
照れているように顔を赤らめている二郎ちゃんを可愛いなんて言いながら見ていれば、濡れたせいで少し寒くてついくしゃみが出てしまう。
すると二郎ちゃんは慌てたような素振りをみせ、自分の上着を脱げば私の肩にかけてくれた。
『えっ、二郎ちゃん風邪引くよ?』
二郎「いいから、着てろって。風邪引かれたら心配だし」
二郎ちゃんの男前な行動に私はキュンとした。
さすがは一郎くんの弟だなぁなんて微笑ましくなった。
『ありがとう、二郎ちゃん…寒くなったらぎゅーしてあげるね。そっちの方があったかいかも』
二郎「…はぁ!?な、なななな何言ってんだよ…!」
顔をリンゴのように真っ赤にしながら酷く動揺する二郎ちゃん。
これを初心って言うんだなぁ…可愛い…可愛すぎて辛い…
ぎゅーしたいくらいには可愛いなこの子…
でもセクハラになるから触れないけど。
可愛いし反応が初心で見てて飽きないなぁと思いながら二郎ちゃんを見ていれば、通り雨だったのかすぐに雨はやんだ。