第13章 看 病
二郎「よっ、こんな所で何してるんだよ」
『あっ、二郎ちゃん…』
声をかけてきたのは二郎ちゃんだった。
帰ろうとしたのに何故今会ってしまったんだ…!
なんか萬屋ヤマダをこっそり覗いてるストーカーみたいじゃん私…変なところ見られた…最悪。
すると二郎ちゃんは私が手に持っていた箱を見れば首を傾げた。
二郎「なんだよそれ」
『えっ?あ、あぁ…これはその…』
言えない。
一郎くんのお見舞いにケーキを買ってきたけど、玄関先で三郎くんに門前払いされたなんて恥ずかしくて言えない…!!!
言葉を濁しながらもごもごしていれば、二郎ちゃんは何かを察したのか口を開いた。
二郎「もしかしてそれいち兄への手土産か?お見舞いとか」
『えっ!?な、なんでそれを…』
二郎「んー、なんとなく?なんで行かねぇんだよ、そんなとこで見てねぇで行けばいいのに」
『それは、その…お恥ずかしながら私…三郎くんに嫌われてるみたいで一郎くんに会わせてもらえなくて…』
すると二郎ちゃんは無言のまま私の腕を掴めば、何処かに引っ張られながら連れていかれた。
『えっ、ちょ…二郎ちゃん!?』
驚く私とは反対に、二郎ちゃんは強引且つ優しく手を引っ張って歩く。
どこに向かってるんだろう…なんて思いながら私は二郎ちゃんに着いていくことしか出来なかった。